2.取得費(購入金額)が不明な場合

(1)概算取得費控除

先祖代々の不動産を相続で引き継いでいる場合や何十年も昔に購入したため、取得費が不明な場合は、どのように計算するのでしょうか。

このような場合には、一般的には「概算取得費控除」という簡便的な方法で計算します。

これは、収入金額(売却金額)の5%取得費として控除する方法です。
つまり、この方法では95%が利益となり、課税されてしまいます。

例えば、売却金額が5,000万円の場合は、以下のような計算になります。

5,000万円-(5,000万円×5%+譲渡費用)=譲渡所得

取得費が250万円となり、これでは譲渡利益が多額に出てしまいますので、なんとかして、取得費を判明するのが得策です。

それでは、どのような方法で過去の取得費を判別すれば良いのでしょうか?

(2)取得費を探す方法

購入時の売買契約書が残っていない場合でも不動産はとても大きな買い物です。
登記簿謄本、不動産会社、金融機関、その当時の状況を知っている親戚などから何らかの手がかりが残っていないか捜索します。

①登記簿謄本の取得

まずは不動産の登記簿謄本を取得します。
登記簿謄本の「甲欄」には前所有者の情報が記載されています。
また、「乙欄」には、借入金額や借入金融機関などの情報が記載されています。
また、現在の不動産登記簿で足りない場合は、コンピュータ化される前のものを所轄の法務局より取り寄せます。

②不動産業者への聞き取り

不動産取引に関与した不動産会社などに資料が残っていないか聞き取りをします。
また、不動産会社の仲介手数料は、売買金額の3%+6万円が相場です。
不動産会社自体の経理資料から逆算することにより判別することもあります。
また、マンション開発業者からの購入であれば、何らかのパンフレットなどが残っているかもしれません。

③金融機関への聞き取り

購入時に金融機関から借入れを行っている場合には、その金融機関に関係資料を提出しているので、それらの資料が残されていないか確認します。
また、金融機関の内部資料(稟議書など)から判別することもあります。

④前所有者への聞き取り

だんだん奥の手になってきましたが、前所有者が会社などの場合は、その会社は個人と違い会計帳簿を記録しているはずなので、そこから判別することがあります。
前所有者が個人でも、なんらかの記録を付けている可能性もあります。
また、借地権の場合には地主さんへの聞き取りも有効的です。

以上のように過去の取引を「直接的」に探してもどうしても分からない場合は、「市街地価格指数等の変動率」や「過去の相続税路線価の変動率」などから取得費を推計する方法を検討してもよろしいかと思います。
ただしこれらは、「売却時の地価の水準」と「購入時の地価の水準」から売却価額を調整して取得費の推計値を求める方法なので、当時の購入価額として適正な数字といえるかどうか、十分な検証が必要です。

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